第9章 お手入れ

904.染めかえ

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「きもの上手(じょうず)は染めかえ上手」と言われるほど、染めかえ(染め替え)はきもの知識の宝庫です。

今では、染めかえをする人は少なくなりました。それでもきもの通のあいだでは、しばしば利用されています。昔のように何でもかんでもではなく、上手なきものの再生法として利用されています。

染めかえは、きものの洗い張りをするように解いて元の反物の形に戻します。それを脱色して、色柄を抜きます。いわゆる白生地の状態に戻す訳です。精錬しなおして、新たに柄や色を染めます。色抜きして再度染められるのは絹だけです。しかし、染めかえはどんなものにでも再生できるわけではありません。生地の種類、染料の種類など、幅広い染織技術を網羅する知識が必要で、私の場合も長年に渡る失敗が大きな財産になっています。

染めかえる前に、生地/染料を見てもらい、どのような色柄なら染まるか、そのアドバイスは不可欠です。 以下に、実際の利用方法を例示しました。

色無地→色無地(色の変更)


色無地は、派手になったり、長年着ていると、色に飽きることがあります。そんなときに、地色の変更をするのが染めかえです。費用も、数箇所、シミ抜きをする値段や洗い張りをする値段とは、あまり変わりません。

無地染は、12,000円~18,000円ほどで、驚くほどきれいな新色に生まれ変わります。お茶などのお稽古事をする人には、欠かせないメンテナンスと言えるでしょう。

間違った染めかえの知識

染めかえるときには、濃い色に染めればいい。と良く聞きますが、これは素人の甘い考えです。濃い色なら、あっさり濃紺かエンジなどの黒に近い色なら大丈夫ですが、中途半端な濃さが危ないのです。あえて申し上げるなら薄い色ほどきれいに染まります。

シミの有る無しもさることながら、もっとも手ごわいのが生地の弱り具合です。見た目には区別がつかなくても袖とひざでは、使用頻度によって、生地の強度が異なります。 特に無地を染める場合、弱ったところは、染料を多く吸収します。その分、色が濃くなる訳です。

また、色無地なら何でも染めかえが出来ると言うものでもありません。脱色できないメタル系の染料などは、見ただけではわかりません。

色無地→小紋

色無地でも、一度染めかえたら、二度目は小紋に染めましょう。江戸小紋や京小紋なら無難に染め上がります。なお、小紋から無地への染めかえは出来ません。

訪問着→小紋

派手になった訪問着を、小紋に染めかえました。染代は、23,000円~50,000円くらい。もちろん、裏や仕立て代は別料金です。
※クリックすると大きな画像が出ます。染め上がった小紋に柄八掛をあわせています。

「知らないと後悔する着付け教室の話」が集英社に取材されました

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