第4章 帯の種類

402.帯の種類

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貫頭衣

帯の変遷へんせんについては、それだけで学問になるくらい奥の深いものですが、帯の名は身に付ける意味の「ぶ」からきたと言われています。

人類最初の衣服は、気候の変化や動物などの危害から身を守るために発生したとする保護説が有力ですが、「紐衣ちゅうい」と呼ばれる単に腰に巻いたひもを収穫したものの運搬や武器を下げる目的とした説もあります。

我が国においても、庶民はころもを一枚着て、ひもを締める程度の簡単な服装であったことがうかがえます。埴輪はにわなどに見られる弥生やよい時代の原始的な織物から作られた「貫頭衣かんとうい」は、一枚の長方形のあら麻布まふの中央に丸穴まるあなをあけ、そこに頭を通して着用したものですが、わきはそのままのものとい止めたものとがあり、腰上あたりを紐でめていたようです。

小袖

鎌倉かまくら時代から室町むろまち時代にかけ、細い紐か組紐くみひもに過ぎなかった帯が、小袖こそでの登場によって細帯ほそおびのようになり、装飾性を持ってきます。そして、江戸時代になって帯幅が次第に広くなり丸帯まるおびへと発展します。花嫁衣裳で使われる丸帯は、現在の帯「袋帯ふくろおび」の倍の横幅がありますが、半分に仕立てて結ばれます。

江戸初期には、前後左右自由に結んでいましたが、次第に後結びが多くなり、ミスは後ろ結び、ミセスは前結びになります。江戸後期には、既婚の女性も後ろ結びになり、前結びは老女や未亡人の帯結びとなりました。現在のように帯〆を使い、後ろ結びに統一された形は、江戸末期から明治以降に完成しました。

帯の発達によって着物の装飾性は飛躍的に向上します。紐やベルトのように単に衣服を締める補助的な道具から、美観や格式を表現するものへ発展し、きものと同列の主役の地位を占めるに至りました。

おしゃれ用袋帯

袋帯ふくろおびは昭和の初期、それまでの丸帯が重くてあつかいにくいことから、今のような片面(表)だけに柄付がらづけされ、半分の八寸幅の帯になったものです。袋帯には、礼装用の振袖ふりそで留袖とめそで、あるいは、大島おおしま結城ゆうきなどのおしゃれのきものまで幅広い種類があります。

難しいのは、礼装用とおしゃれ用との区別です。一般的に言われるように「金銀の帯地おびじなら礼装用、金銀以外のものならおしゃれ用」と、単純な線引きはできません。このことは、きものがわかりにくい要因のひとつですが、同時に、奥深い魅力的な一面でもあります。帯の種類に精通せいつうすることが、きものの着こなしに大きな手助けとなるでしょう。

女帯の種類

丸帯(まるおび)

丸帯

帯幅は、袋帯の2倍で全通が一般的。おもに花嫁衣裳に用いられる。
幅:68cm。長さ:4m。

掛下帯(かけしたおび)

掛下帯

江戸時代に打掛うちかけを着た女性が、間着あいだぎの上に締めた帯。繻子しゅす花紋はなもん刺繍ししゅうした丸帯を文庫結ぶんこむすびにした。
幅:27cm。長さ:4.2m。

かかえ

かかえ帯

掛下帯の下側にえて結ぶ装飾用の帯。
幅:6cm。長さ:2.7cm。

袋帯

袋帯

帯といえば袋帯というほど、振袖、留袖、訪問着からお洒落用の紬まで幅広く使われている。昭和の初期から丸帯に変わり主流となった。袋帯の染織技法には、佐賀錦さがにしきつづれ、唐織からおり琥珀こはく相良刺繍さがらししゅう蘇州刺繍そしゅうししゅう糸錦いとにしき箔錦はくにしき螺鈿箔らでんばくなど、さまざまな呼び名があります。
幅:30cm。長さ:4m。

名古屋帯

結びの部分は普通幅、残りは半幅に仕立てた帯。大正末期に名古屋で考案された事からこの名がある。とりわけ、きもの通には欠かせない帯となった。

九寸名古屋帯

九寸名古屋帯

帯幅が九寸で、芯を入れて仕立てる。仕立て上がると八寸幅になる。織物では、金銀の錦帯から艶消しの糸錦。染帯では、縮緬や塩瀬の帯がある。
幅:34cm。長さ:3.6m。

八寸名古屋帯

八寸名古屋帯

帯芯を入れずに仕立てる。西陣織とともに博多帯が有名である。紬や小紋などのお洒落物には、欠かせない帯。
幅:30cm。長さ:3.6m。

単帯(ひとえおび)

紗八寸帯

綴れや博多帯など地質のシッカリしたものに多い。帯芯などは入れない。羅、紗、絽など夏物に多くみられる。
幅:30cm。長さ:4m。

半幅帯(はんはばおび)

四寸単帯

四寸帯とも呼ばれ、半分の帯幅。単帯と小袋帯のように袋状のものとがある。
幅:15cm。長さ:3.5m。

小袋帯(こぶくろおび)

小袋帯

博多帯(献上帯けんじょうおび)の小袋帯が有名。
幅:15cm。長さ:3.5m。

※献上博多帯:幕府への献上品として織られた帯

細帯(ほそおび)

細帯

小袋帯より少し長い半幅帯。主に小紋や紬に結ぶ。
幅:15cm。長さ:4m。

わせ

異なる織物を両面から縫い合わせて芯を入れて仕立てる。片側に黒繻子くろしゅす、もう一方に白地、紋、縞、更紗さらさなどを使用した帯。昼夜帯ちゅうやおび腹合帯はらあわせおび鯨帯くじらおびとも呼ばれた。江戸中期から明治まで女帯の主流であった。幅:30cm。長さ:4m。

※幅、長さは、標準的なサイズです。一定の規格がある訳ではなく、産地・織元によって異なります。

男帯の種類

角帯(かくおび)

角帯

兵児帯へこおびのように幅広の柔らかい扱帯しごきおびに対して幅の狭いかたい帯の総称。単帯と袋帯がある博多献上帯に代表される。
幅:10cm。長さ:4m。

兵児帯(へこおび)

兵児帯

扱帯しごきおびとも言う。幅広の帯を扱いて用いる男子用、子供用の帯。もともと薩摩さつま(鹿児島県)の下級武士が締めた白またはこん木綿もめんの扱帯であったが、明治維新後、その簡便さから次第に広まったもの。兵児へことは鹿児島地方の放言で15才から25才迄の青年を指すが、その兵児が用いたのでこの名がある。日常の帯で礼装には使用しない。地質は羽二重、ちりめん等で絞り染めが多い。
幅:50~60cm。長さ:4m。

子供帯の種類

帯(むすびおび)

結び帯

現在では大(七)、中(五)、小(三)という大きさに別れている。ほとんどが、この帯の含んだ筥迫はこせこセットが使われている。

筥迫セット(はこせこセット)

筥迫セット

結び帯、草履バック、帯締帯揚、しごき、衿、扇子、リボンや髪飾り等、セットになっている。

袴セット

袴、袴帯、草履バック、扇子、等のセット

「知らないと後悔する着付け教室の話」が集英社に取材されました

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